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◆ 第16話「激闘!怪獣島」

脚本/川上英幸、特技監督/村石宏實、監督/村石宏實.
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満足度: ★★★

鑑賞メモ

 シルバゴン、シルドロン、ネオザウルスと3体の怪獣が絶海の孤島でバトルを繰り広げるダイナ版「怪獣無法地帯」.

 怪獣バトルものとしては十分な迫力があり,マッドサイエンティストの登場も定番で、舞台が南海の孤島ということもあり,秘境ものとしてのテイストも少しだけど感じられました.楽しめる水準作と言えると思います.

 ところで、遺伝子組み換え技術とクローン技術を使って、怪獣を改良を試みるオオトモ博士.彼の主張は、

  1. 怪獣と人間との共存.
  2. 怪獣による労働の代行.
  3. 怪獣による侵略者の撃退.
でした.物語の中でこれらは冒涜的な行為として糾弾され、オオトモ博士は無惨な最期を遂げます.

 人間が生物を好き勝手に改造する事に対する本能的な畏れと嫌悪感が物語のベースにあるようです.そのような感覚は別段奇異なものではなく,世間一般に広く感じられているものではないでしょうか?劇中でコウダも,そのような行為が冒涜的とされるのは「当たり前だ」と断じています.

 しかし、落ち着いて考えてみると、我々の世界で人間自身が都合のいいように生物を作り替えるという事は,既に農業や畜産における品種改良として行われています.掛け合わせによる品種改良は、分子レベルで見れば間接的な手段で遺伝子を組み換えている事に他なりません.直接,科学的手段で遺伝子を弄っている例としては生ワクチンの製造などがあげられるでしょう.生物を労働に使役している例では盲導犬、警察犬、タイの象,蚕によるシルクの製造、微生物による醗酵食品の製造など大小さまざまで枚挙に暇がありません.侵略者の撃退っていう用途は最近では減りましたが、昔は武士や騎士は馬に乗っていましたし、軍用犬の例もあります.タイでは象が戦争に使われました.さらに,侵入者の撃退という意味では番犬の存在が身近でしょう.番犬はただ規模が小さいだけでやらせている事は同じです.

もし,オオトモ博士が
「私の研究だけが、科学的手段による品種改良だけが、どうして糾弾されなければならないんだ?そんなの、お前らの勝手な好き嫌い、わがままじゃないか!」
と言ったら、コウダやナカジマはなんと答えたでしょう?
貴方なら何と答えますか?

 SFというジャンルの美点として、文明や文化や人類という種の行く末、地球や宇宙のありよう、という個人という枠を大きく超えたスケールで物事を捉え、見つめ直すという特徴があります.ウルトラでも、ときどきそのような視点で問題提起されることがあります.ダイナのネオフロンティアも,そのような視点の契機となる芽を内包している概念といえるでしょう.今回のプロットもそういう含みを持たせる絶好の題材にもなり得たはずだったと思うのは私の欲目でしょうか?

 ちなみに,オオトモ博士の研究テーマの正当性とは別に、博士が破滅を迎えたのにはもっともな理由があると思います.

それは,第一に、彼はピンチになると合理的な思考ができなくなり,子供じみた安直な行動に走ってしまう傾向が強すぎる点です.研究の正当性を認めさせるために生物工学委員会を怪獣で襲撃させようとしたり,研究施設を守るために知能が低く凶暴なネオザウルスを起動してみたりと,目的の達成にそぐわない衝動的な行動をとっています.

第二に、慎重さが足りない.危険な生物を扱うわりには,フェールセイフやリスクマネジメントという概念がなく,研究の成り行き次第で簡単に手に負えない事態になってしまうお粗末さがあります.

 天才と呼ばれる科学者には変わり者が多いといいますから,彼のような人間は存在しうるのかもしれませんが、そのような人物が才能を生かすためには,適切な研究制度や,補佐し軌道修正してくれる人物,あるいは,元々危険性が少ないテーマに取り組むこと,などが不可欠なのではないでしょうか.

 十分にバランスのとれた安定した人格と適切な環境の両方に欠けていたために、オオトモ博士は自らの才能が破滅を呼ぶ込む事になったと言えると思います.

 さて,あと細かい点に少し触れておきます.
 室内にいるナカジマ、コウダを援護するのに、まさかα号から攻撃して壁をぶち抜くとは!なんと破天荒な.予想外の大胆な行動でびっくり.
 ナカジマ.ハネジロウの件でアスカを騙すために涙まで流してみせるなんて,ただものじゃない.最初はナカジマもハネジロウが死んだと認識していたかと思いましたが、最後の悪戯っぽい笑顔からして絶対、そんなことはありません!

あらすじ

主人公:オオトモ博士

 オオトモ博士は、遺伝子操作技術を用いて密かに怪獣の品種改良を続けていた.次の改良にはハネジローのもつ知的な遺伝子が必要だ.しかし,研究が完成に近づいた矢先、研究を冒涜的なものと見なす生物工学委員会から出頭命令が届く.彼は出頭を拒否しハネジローを連れて秘密の孤島に逃亡する.踏み込んだS-GUTSとの争いの中で怪獣たちが暴走を始め、オオトモ博士は悲惨な最期を遂げる.ハネジローを無事救出できて喜ぶアスカ.

今回の台詞

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オオトモ博士「ナカジマ君.怪獣と人間が共存できる関係になれたとしたら,どう思うね?」
ナカジマ「怪獣と人間の共存?」
オオトモ博士「もしもだよ,人間のいうことを素直にきく巨大怪獣がいたとしたら,人間にとって危険な環境で作業させたり、侵略者を撃退したり,君たちの任務も少しは楽になるだろう.私はネオフロンティアに役立つようにと遺伝子操作によって怪獣のクローンを作る事を研究してきた.そして,その研究が実りかけた矢先に...」
ナカジマ「生物工学委員会に研究の中止を言い渡された.」
オオトモ博士「その通りだ!頭の固い連中は私の研究は神をも畏れぬ行為だと罵った.」
コウダ「当たり前だ!怪獣を勝手に作り出すなんて.」
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重箱の隅

 ザリーナ地帯って,いうけど,画面に出てきたのは海のただ中.なんで海域って呼ばないの?

 ちなみにザリーナってイスラム教圏でよくある女性名.発見者がザリーナさんだったのかな?

 α号のコクピットの計器類、目盛りは打ってあるが、数値が一つも書いてない.なぜ?

 いくら磁場が強いと言っても、島の上空は晴れていました.これじゃ人工衛星から丸見えです.地図に載っていないってのは普通はあり得ない.とすると,この島にはTPCの秘密施設とかがあって、検閲により地図から削除されていた?まさか強力な磁場も人工的なものなんじゃ...数年前にオオトモ博士がこの島を発見したって言ってましたけど,もしかしてTPCの機密データを盗み見た?(<ちょっと陰謀史観?気味)

 今頃気付いたんですが、シルドロンの喉から肩にかけてのテクスチャやシルバゴンの喉から腹にかけてのテクスチャ、グレーで凹凸のあるタイプですね.ということは,もしかして2匹とも超古代怪獣の生き残り?微妙にテクスチャが典型的なパターンと違うから亜種?

 「そのレーザーには7000Vの電流が流れている.触ったらいちころだぞ.」というオオトモ博士の台詞.ボルトは電圧の単位で、電流はアンペア,電力はワットだけど、慣用表現では○○ボルトの電流って言うからまあ良しとしましょう.さて,レーザーに流れる電流とはどういう事でしょう.これはおそらくレーザー誘導放電(レーザ誘雷)だと思われます.レーザ光の高電界と熱作用によって,大気の絶縁破壊を起こして適度な密度のプラズマ状態の線を作り出すと,これが放電誘導路として働いて雷の進路を誘導する事が出来るそうです.現在我々の世界でもこのレーザー誘導放電を避雷針や放電加工機に応用できないか研究中とのこと.こちらのサイトに例がのっています.

 シルバゴンに襲撃される研究所.いままでは襲われなかったのか?アスカが研究所の装置を壊したせいでシルバゴンが施設に近寄れるようになったのか?

 「くそう.ハネジロウの知的遺伝子が組み込まれていれば...」というオオトモ博士の台詞.「普通の動物にある攻撃本能が全くない」というハネジロウの知的遺伝子を組み込んでもシルバゴンには勝てないのではないでしょうか?もっとも,ハネジロウは発見時にアスカに噛み付いているので攻撃本能がないわけじゃないですよね.オオトモ博士,嘘つきましたね.ちなみに,人間も知的な動物だけど教育しないとダメ.ということは,怪獣の知的遺伝子とは生まれた時点から知恵がつくということ?

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