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 空想科学、あるいはSFの楽しみの一つに、
科学的なテクニカルタームを用いて説明される
現実とは違う特異な状況設定がある.

 まあ,一種の法螺話なわけだが,法螺とか嘘とかは一から十までデタラメであるより,あり得る話の中に少しだけ大嘘が混じっている方がもっともらしくなるそうだ,本当の部分が高度になればなるほどハードSFと呼ばれるようになる.

 そういう意味ではウルトラに出てくる空想科学的設定はあまりレベルが高くないのが伝統であった.初代ウルトラマンにでてくる設定等は目を覆いたくなるような表現もある.(それでも話は面白いから見るのは止められないが...)

 たとえば,「故郷は地球」でジャミラの宇宙船が見えない理由.
ムラマツキャップは回転する自転車の車輪のスポークが視認できなくなることを示す.それをみたイデ隊員は宇宙船が高速で振動しているために見えないと結論する.しかし、たとえば指をできるだけ速く振動させてみて欲しい.確かに、振動の真ん中では視認しづらいが、振動の両端ではぼやけながらもちゃんと指が見える.振動の両端では運動の方向が逆転するため、速度が0になる瞬間があるからである.おまけに等の宇宙船の噴射炎はまったくぼやけて見えてすらいない.これではちょっと脳内補間で解釈するのも難しい.(繰り返すが、ストーリーは面白い!)
 さらにキャップは色付きの円板を高速で回転させると色が混ざってグレーに見えることを示す.これを受けてイデは円板を見えるようにする装置を開発する.曰く、
  スペクトルα線は攻撃目標の屈折率を自由に変える.
  スペクトルβ線は攻撃目標の色彩吸収力を破壊する.
  スペクトルγ線は攻撃目標の光の反射角にある制限を加える.
という.あろうことか,どれも人間の動体視力がついていかないことと関係がないではないか!そして,色を吸収しなくなると透明になりそうな気がする.光の反射角に制限を加えると方向によっては見えにくくなるはずだ.視認可能になるとはとても思えない.この回では科学者であるイデがレーダーのことを知らなかったり、航空機同士の戦闘をするときに風防から突き出したライフル型のビームガンを手で狙いをつけて発砲したりしている.これならば,ウルトラマンによくやられ役ででてくるF4ファントムやF86セイバーなど方が高性能である.

 最近のウルトラマンではこんなことは少なくなった.量子力学とかのもっと小難しいテクニカルタームや、何の定義もないテクニカルタームで煙に巻くというのが一般的なやり方のようだ.下手な説明よりは、この方が断然見栄えがする.ただ,それでは最近のスタートレックの設定の精密さの足下にも及ばないので,まだちょっと残念ではある.折角のシリーズものなのだから,誰か科学的素養のあるブレーンをつければいいとも思うのだが.子供向けの番組の限界だろうか? それでも,時代を経るごとにもっともらしくはなってきているので今後に期待したい.

 空想科学では上手に法螺を吹くのが望ましいが、疑似科学では嘘が上手いのは困る.疑似科学、似非科学とはテクニカルタームや理論は素人が聴くとそれらしく聞こえるが、実は科学的根拠が大変薄弱なものである.しかし、このような疑似科学的出版物や商品は日本では特に大手をふってまかり通っている.

 たとえば,相対性理論は間違っていたとかである.まあ,相対論的効果は日常で意識することはまずないし,いくら素人が「相対性理論は間違っていた」と主張したところで、GPSを作る専門家は測位衛星に働く相対論的効果を考慮した設計をするだろうから遭難する心配はない.実害は少ないかもしれない.しかし,水が分子クラスターを作らずに単分子になる浄水器だの,健康にいいマイナスイオンをだすエアコンだのはかなり問題だ.

 水分子がクラスターをつくらない浄水器など現代の物理化学の体系に真っ向から挑戦している主張で,そんな水は室温で液体であることは難しいであろう.しかし,そんなことはおかまいなしにもっとらしいテクニカルタームで客を煙に巻いて商品を売ろうとする.単分子水の効果で水道水の塩素化合物が取り除かれたように受け取れる説明までしてあるものもあるが,目立たないように活性炭が入っていることが書いてあったりする.塩素化合物は活性炭に吸着されたに違いない.触法ギリギリですり抜ける工夫だろうか?効果が有る無し以前にその売り込み態度が気に入らない.

 また,マイナスイオンは健康にいいとされるが、実体は本当にいい効果があるのか実は定かではないとのこと.効果があると言う論文もあるが、ないという調査結果もある.もちろん,なぜ健康にいいかメカニズムはもちろん解明されていない.つまり,科学的評価は確定していないということらしい.国民生活センターでは,効果ははっきりしないが、学識者の意見は分かれているという両論併記である.

 にもかかわらず,メーカーの宣伝ではもっとらしい「科学的」な説明が書いてある.そうしないと販売競争に負けるらしい.その尻馬にのってTV情報番組も肯定的意見だけを取り上げるのだから,現状認識は偏るばかりである.

 だいたい一口にマイナスイオンといっても、商品によって作用機序が違うだろう.たとえば,髪(ヘヤドライヤー)ついて効果があっても呼吸(エアコン)については効果があるとは限らない.マイナスイオンと言う造語ばかりが一人歩きしている気がする.

 私は、科学的根拠がないものを売ってはいかんと言うつもりはない.お守りや占いで収入を得ることを否定しない.それは,科学とは無縁のものであることを利用者が承知しているからだ.いかんのは,さも科学的なふりをして実は疑似科学というものである.せめて,科学的にみえるメカニズムの説明が、実験事実なのか推測なのかくらいはハッキリ書いて欲しい.専門家でない人間にどうやって区別をつけろというのだろう.

 また,折角,それっぽい科学的(空想科学的,疑似科学的)な説明ができる才能があるのなら,願わくはフィクションの世界で発揮して欲しいと思う.日本の空想科学の世界こそそのような才能を必要としていると思うのだが...
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