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ウルトラマンダイナ19話(遅くなりました)

第19話「夢幻の鳥」
脚本/武上純希,特技監督/原田昌樹,監督/原田昌樹.
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満足度: ★★★-

鑑賞メモ

 人間や運命は前に進んでいるのではなく,ただ同じことを繰り返しているだけではないのか?暗い気持ちに囚われそうになるシンジョウマユミに対して,持ち前のバイタリティと信念を示して勇気づけようとするアスカが印象的でした.そして最後の黒いロングコートを着て歩み去るマユミの姿がなんだかカッコいい終わり方.

 ドラマの方はと言えば,ピンチにもめげず自ら前向きに努力する姿を見せることで周囲にも心の灯をともす,という平成ウルトラの王道的なストーリー...などと書こうかとも思ったんですけど.マユミにとっては,アスカの行動というより,むしろタクマの霊魂が再び出現して2度目の悲劇を防いだことが大きいような気がしますね.

 だけど,マユミの「停滞からの脱出」を一つのテーマとして考えているのであれば,マユミが最後まで事態をみているだけというストーリーはちょっとだけ心残り.むしろ,タクマは幽霊としては現れず,(ハルチカだけでなく)マユミも「タクマだったらどうするか」を考え,最後には勇気ある行動にでるという方がより建設的ではなかったかと思いました.最後まで傍観者ってのは...

 もう一つの見所といえば,後半部分.マイクロ波発電所跡地に姑獲鳥が現れてからの展開が,カット割りも含めてティガ15話「幻の疾走」をなぞるような形になっている所.「時間は前へ進むんじゃなくてぐるぐる回っているだけ」ということを不気味に暗示しています.この辺のシーンのティガとの対応については.「ウルトラマンダイナスペシャル 総力特集ティガ&ダイナ」の前半パートで再編集されて分かりやすい形で再録されています.興味ある方は確かめてみられるといいかも.

あらすじ

主人公:シンジョウ・マユミ

 また悲劇が訪れる...不吉な予言とともにマユミの夢に現れたプラズマ生命体・姑獲鳥が,中国の地震をきっかけに現実に出現.発電所を襲いながら,日本に向かう.かつてカゾートに襲われ恋人タクマを亡くしたマユミは悲劇が繰り返されることにならないかと悲観的になる.やがて姑獲鳥が飛来した所はカゾートが襲った地であった.タクマの弟ハルチカが皆を救うために囮となりバイクを駆る.そして事態は不気味にもカゾートの悲劇と同じ展開を見せ始める.姑獲鳥の放った雷撃による爆発に巻き込まれるハルチカ.運命に立ち向かうように変身するアスカ.

今回の印象に残った台詞

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マユミ「時間はね.前へ進むんじゃなくてぐるぐる回っているだけだって聞いたことがある.だから,歴史の悲劇も繰り返されるんだって.」
アスカ「でもお,ぐるぐる回ってるみたいで螺旋階段は前より高いところに登っているじゃないですか.昨日よりも今日は良くなっているはずです.例え少しずつでも.」
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アスカ「おれ,絶対歴史を変えてみせます.」
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ハルチカ「まさか,兄貴が...」
マイ「いいえ,きっとお兄さんよ.きっといつか誰かが説明してくれると思う.魂はプラズマだとかなんだかとか.でも,今はそんな事どうでもいいの.」
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マユミ「歴史は繰り返す.でも,少しずつ,歴史はいい方向に変わっていくのかも.」
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重箱の隅

Mourning Process

 余談ですが,深い喪失感から精神的に立ち直る過程を心理学的に研究している人達がいます.これを一般に「喪の過程」とか「対象喪失の過程」とか言うそうですが,有名な所ではJ. Bowlbyという人が提唱する段階的分類があるそうで,それによれば,

  1. 麻痺(Numbing):衝撃が大きすぎて何も感じない状態
  2. 抗議(Protest):涕泣,怒り,非難,失望などの感情と故人を思慕する強い衝動を感じる時期
  3. 絶望(Despair):周囲や自分自身を空虚なものに感じ,不安や絶望を感じる段階
  4. 離脱(Detachment):故人との関係の中で形成された価値観,目標など内在化しつつ自我を立て直す時期
という過程を経ることが多いとか.

 現実の深刻な心理過程をウルトラマンのドラマと比較するのもどうかと思わなくもありませんが,あえてマユミの場合として見てみると, ティガ15話「幻の疾走」が[麻痺→涕泣]、ティガ28話「うたかたの...」では[怒り,非難,失望→一応の離脱?],ダイナ19話「夢幻の鳥」で[空虚感&絶望(揺戻し?)→離脱]と言った感じでしょうか?

 ただ,劇中の時間軸では「うたかたの...」と「夢幻の鳥」の間にティガ劇場版が挟まり,そのティガ劇場版なかではダイゴ&レナとマユミ&ヤズミの2カップルでダブルデートしていたのに,「夢幻の鳥」では仕事場の机に亡きタクマとの2ショット写真が飾ってあったりしてとマユミの心理状態に関しては統一的な解釈が難しいです.ヤズミの方はティガ「青い夜の記憶」でもマユミのことを気にしたりしていて多少意識していたと思うのですが...ダイナの時代になってからふられたんですかね.写真飾ってなかったし...(もしや,マユミを巡る脚本家同士の綱引き?)

行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず

 劇中で「だから,歴史の悲劇も繰り返されるんだって.」とマユミは言っていました.「歴史は繰り返す」は人工に膾炙した言葉ですが,調べてみると古代ギリシアの偉大な歴史家ツキジデスの言葉であるとか.歴史にある種のサイクルを繰り返す傾向があるとする歴史観を「循環史観」というそうです.もちろん悲劇だけが繰り返されるわけではありません.素晴らしいことも繰り返し現れるはずです.(循環史観は古代ギリシアに限らず色々な文化圏で散見される)

 これに対する言葉は「直線史観」とか「発展史観」あるいは「救済史観」です.要するに歴史は人間の進歩の過程であり「あるべき姿」へ向かって前進していると言うものです.背景には,古くは西欧キリスト教的「神の摂理」,新しくは「理性」への信頼感,があるのだそうです.ただ,これらは歴史哲学という「ものの見方」であって,歴史の背後にある「動因」がなんであれ,現実の歴史はサイクル的な側面もそうでない側面も持っており,どちらの史観も一長一短があるであろうことは想像に難くありません.ただ,ダイナの時代の気分は「ネオフロンティアスピリッツ」であり,人の「光」への信頼感を根底に「前進」を指向しているようです.そういう意味ではアスカの「螺旋史観」もつまるところ広い意味での「発展史観」なんでしょう.いや,「何か何でも発展させてやる史観」というべきかもしれません(笑).

永劫回帰

 また,今回のエピソードでは,過去の出来事がそっくりリピートされるという呪縛にも似た展開と,マユミの虚無感とが分ちがたく結びついています.その辺に注目して調べてみたところ,避けがたく行き当たるのはニーチェのいう「永劫回帰」と「ニヒリズム」でした.ニーチェ曰く,

デーモンが君の最も淋しい孤独の中まで忍び寄り、こう言うとしたらどうだろう。『お前が今生きている、これまで生きてきた、この生を、お前はもう一度、さらには無限にわたり、繰り返し生きなけれがならない。何も新しいものはない。あらゆる苦痛とあらゆる歓び、あらゆる思念とあらゆる溜息、お前の生の言うに言われぬありとあらゆるものが些大もらさず、戻ってくるのだ、しかも全てが同じ順序で。?この蜘蛛も、木の間をもれる月の光も、今のこの瞬間も、私自身も。存在の永遠の砂時計は、そしてその中の砂粒にすぎないお前も、何度も繰り返しひっくり返されるのだ。』?君は地に身を投げ出し、歯軋りをして、こう語ったデーモンを呪わないだろうか?
だそうです.(私は啓蒙書しか読んだことがなく孫引きです.)まあ,「永劫回帰」が起きる理由をニーチェの著作では,時間は無限であるのに,世界の出来事の可能な組み合わせは有限.有限なもので無限を充填しようとすれば繰り返しが起きるはずだ,と説明されているそうです.なんだか物理でいうエルゴート仮説みたいですが,世の中にはそのような再帰性を持たない系も存在するので,宇宙全体をひとつの系として見た場合に必ず永劫回帰するかどうかは自明ではありません.まあ,「永劫回帰」は一種の比喩として捉えるべきでしょう.ニーチェ自身は「永劫回帰」のような運命を積極的に受け入れることで精神的に克服するように言っているそうです.この辺はアスカとは違いそうですね.

姑獲鳥の悲劇

 「また悲劇が繰り返される」などと夢の中でマユミを恫喝していた姑獲鳥.その夢は姑獲鳥によるものではなく,タクマがマユミに警告を送ったものらしいので姑獲鳥に落ち度はないのですが,それにしても姑獲鳥は,かつてのカゾートIIと同じようなプロセスで退治されてしまいました.怪獣側からすれば退治されてしまうこと自体が「悲劇」なわけで,そう言う意味では姑獲鳥はカゾートIIと全く同じ轍を踏んで「悲劇を繰り返して」しまったわけです.怪獣にとっては「少しずつ,歴史はいい方向に変わっていかないのかも.」お気の毒...合掌.

姑獲鳥の悲劇II

 今回登場の姑獲鳥.我々の世界では元々は中国の伝説で,

鬼神の類ナリ。能ク人ノ魂魄ヲ収ム。荊州多クコレアリ、毛ヲ衣テ飛鳥トナリ、毛抜ケテ女人トナル。コレ、産婦ノ死後化セルモノ。 故ニ胸ノ前ニ両乳アリ。喜ンデ人ノ子ヲ補リ養ッテ己ノ子トナス。凡ソ小児アル家、夜衣物を露ハスベカラズ。コノ鳥夜飛ビ来テ血ヲ以テコレニ点シテ誌トナス。 児スナハチ驚癇及ビ疳疾ヲ病ム。コレヲ無幸疳トイフナリ。ケダシコノ鳥、純ラ雌ニテ雄ナシ。七八月ノ夜飛ンデ人ヲ惑ス。 『本草綱目』
まあ,鳥と女性のハイブリットであること以外はあまり関係がなさそう.強いて言えば,死によって断ち切られた我が子との生活を思うあまり,「病的な喪の過程」に入ってしまった存在といえなくもないが,劇中ではそういうとりあげ方は流石にしていない.脚本家がなぜ今回の怪獣として姑獲鳥をとりあげたのかちょっと不思議...

シュードタキライト

 姑獲鳥実在の物証となったシュードタキライト.ナカジマによれば「シュードタキライト.地震で岩盤がずれるとき摩擦熱でできる「地震の化石」と言われる石なんですが,これがそうなんですが,これがα号の機体に...怪獣は地震で起こる電気エネルギーを吸うためにこの「地震の化石」を身につけてしまった.そして,空中でバラまいたとしたら...」というのが劇中の説明でした.このシュードタキライト,我々の世界にも実在します.

 電磁気・地球惑星圏学会 181号 会 報 (2003年12月15日 )の中村博士の記事によれば,

 シュードタキライトとは黒色のガラス質の脈状岩石で、隕石孔周辺や断層沿いでよく見つかります。この岩石は、発見当初"タキライト"とよばれる火山岩に似て非なるものだったためシュード (擬似)タキライトと名づけられました。その後の研究で、地震や隕石衝突時の剪断摩擦発熱によって岩石が熔けて急冷した際に形成されることが示され、"地震の化石"ともいわれています。つまり地球磁場環境の中で熔融急冷する点で、 シュードタキライトは古地磁気学でしばしば用いられる"溶岩"と同様に、熱残留磁化を獲得しているのです。したがって、巨大地震や隕石衝突によって形成されたシュードタキライトの残留磁化は当時の地球磁場だけでなく、地震時や隕石衝突時の瞬間的な高磁場(理論的には数ミリテスラにも達するといわれている)をも記録している可能性があり、地球電磁気・地球惑星圏学会と地質学・地震学とも関連してきます。事実、野島断層沿いのシュードタキライトは周りの岩石に比べると異常な残留磁化を示していて、このことから地震時に高電流が生成したとする仮説が提唱されています。(下線は筆者が引きました.)
ということだそうです.細かい部分はともかく,キーワードは概ね一致していますね.こちらはよく調べられていたようです.

隊員宿舎

 警報直後に既に制服を着ているカリヤ.さては制服のまま寝ていましたね.それにしても今回,アスカはカリヤと相部屋でした.「うたかたの空夢」では個室になっていたので,部屋割りが途中で変わったみたいです.それともあれは宿直室?GUTSのメンバーは(少なくともレナは),基地の中だけでなく,外にも部屋を持っていたみたいですが(ティガ「眠りの乙女」参照),S-GUTSの皆さんはどうなのでしょう?

 GUTSの基地ダイブハンガーは房総沖にあり,陸までは比較的短時間で移動できたようですが,S-GUTSの基地はどう見ても山奥.基地の外に部屋を確保するのも簡単ではないかも.それにしても,休日に買い物にでるだけでも移動時間がとんでもなくかかるのでは?まさか,私用でイーグル飛ばすわけにはいかないだろうし...

プレゼント

 ハルチカの為に山のようなプレゼントを用意したマイ.以前,S-GUTSのお給料じゃ松茸も満足に食べられないと言っていたのに,えらい物量作戦です.気合いの入り方が違うのをものがたっています.いや,ダイナ世界では我々の世界よりも松茸がとんでもなく高いのか...?う~ん(<どうでもいいですね.苦笑)

 それにしても基地内でプレゼントの入った鞄を引きずるマイ.服の胸元が大きく開いているので,前屈みになられると目のやり場に困ります.


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